『教えない授業』解説 -「対話型鑑賞」とは何か-

教育

こんにちは。えっくすはっかーです。

今日は、『教えない授業 美術館発、「正解のない問い」に挑む力の育て方』を解説します。

私自身、教育には非常に興味があり、教育に携わる仕事もしたいと思っています。
自分自身も含めてより多くの人が学習効率を高め、より脳のパフォーマンスを引き出すことができるよう、日々教育や脳科学の分野の勉強もしています。

その中で大切に思っているのは、「自主的な学習」
これができるようになると大きいですよね!
授業や講義を聞くだけの受け身の学習と、自ら学ぶ自己主導的な学習ではその効果も全く違います。

今回は、『教えない授業』というタイトルに惹かれて購入した本ですが、そこで説明されている「対話型鑑賞」というものについて解説します。

対話型鑑賞とは何か

「対話型鑑賞」とは、芸術作品等をみながら、気づいたこと、感じたことを言葉にし、対話しながら鑑賞する方法です。

1980年代にニューヨーク近代美術館(MoMA)で開発された鑑賞教育プログラムがもとになっています。

もともとは美術鑑賞のために生まれた対話型鑑賞ですが、美術だけでなく他教科・他分野への応用が可能で、現在では学校教育を軸とした鑑賞教育に発展しています

対話型鑑賞で期待できる効果

鑑賞をしながら考え、言葉にして対話をしていく対話型鑑賞では、様々な効果が期待できます。
以下のような効果が期待されるものです。

・観察力、批判的思考力、言語能力、コミュニケーション力といった総合的な「生きる力」の育成につながる

・自ら問い、考え続ける「セルフ・エデュケーション力」が飛躍的にアップする

・2020年からの新学習指導要領で目指す「主体的・対話的で深い学び」を具現化する手法になり得る

特に教育の分野では、自ら学ぶ力、自己主導的な学習の力につながる期待が持てることは、非常に重要なポイントだと思います。

対話型鑑賞ってどうやってやるの?

対話型鑑賞は、「みる・考える・話す・聴く」という4つの基本プロセスからなります。
鑑賞という言葉から、「みる」ことが重要であることはわかりますが、「考える」「話す」「聴く」というプロセスも同様に重要です。

ここでは、その準備段階も含めて、手順を確認してみます。

0 準備

対話型鑑賞の準備でまず大事なのが、使用する作品の選択です。

絵画でも、写真でも、立体的な作品でも問題ありませんが、いろいろな意見が出てきやすい作品を選ぶのがよいでしょう。

作品を選んだら、想定される問いを予め考え、どのようにナビゲートしていくのかをイメージしておきます。

1 みる

対話型鑑賞が始まると、まずはじっくり作品をみる時間を確保します。

なんとなくではなく、意識をもってじっくりと隅々まで観察できるようにしましょう。

2 考える

みたものについて考えることが、次のステップです。
直感や疑問を大切にしながらも、作品のどの部分をみてそう思ったのか、「根拠」を探すことを対話型鑑賞では重視します。

このときに使用する質問は、「どうしてそう思った?」ではなく、「どこからそう思った?」という聞き方にします。
空想に発展しすぎることなく、作品の中に具体的な根拠を求めることで、論理的思考が促されます。

3 話す

自分の考えたこと、心にわき上がったさまざまな感情や疑問を、的確な言葉にしてグループの人に伝えます
みるという「体験」は、それをふりかえる(言語化する)というプロセスを通して、一歩進んだ「経験」になります。

4 聴く

最後のステップは、他の人の意見に耳を傾けることです。

他の人の意見を聴き、新たな視点を得て改めて作品を「みる」と、それまでみえていなかったものがみえてくることがあります。

さいごに

今回は、教育関連の切り口で、対話型鑑賞についてまとめてみました。

対話型鑑賞による教育を取り入れている学校は多くないと思いますが、家庭で取り入れることができる要素もあると思います。

教えられたことだけをやるのではなく、自主的な学習を促す。

論理的な思考言語化能力が鍛えられる。

人の意見を聴くことで、コミュニケーションスキルが身に付き、多様な意見に耳を傾けることができるようになる。

対話型鑑賞で鍛えることができるスキルには、これからの時代に重要になってくるものも多く含まれているように思います。

過去にご紹介した「モンテッソーリ教育」とも共通する部分がありそうですね。

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