「もしドラ」の続編、「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『イノベーションと起業家精神』を読んだら」を読んでみた

ビジネス

こんにちは。x_hackerです。

10年近く前に岩崎夏海さんの「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」がベストセラーになりましたが、最近本屋でその続編らしきものを見かけたので読んでみました。

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『イノベーションと企業家精神』を読んだら

今回は、感想と概要、ビジネス書として捉えたときの要点を簡単にまとめてみます。

「もしドラ(イノベーションと起業家精神)」の概要

前作、「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」は、女子高生がドラッカーの『マネジメント』の内容を活用しながら、公立高校の弱小野球部で甲子園を目指す、というストーリーでした。

今回も、女子高生が野球部のマネージャーをして甲子園を目指す、という部分は同じですが、いくつかの部分で「もしドラ」とは異なります。

  • 主人公が参考にする本は『マネジメント』ではなく『イノベーションと企業家精神』
  • ドラッカーの内容をベースにしつつ、他からの出典の要素も多い

ちなみに、作中の世界は「もしドラ」と同じで、「もしドラ」から数年たって「もしドラ」の主人公が学校の教師になったタイミングの話として描かれています。

「もしドラ(イノベーションと起業家精神)」の個人的感想

1作目の「もしドラ」より、小説としての要素よりビジネス書としての要素が強いように感じました。
1作目は、純粋に小説として入り込める、感動的なストーリーでしたが、今回はもう少しシンプルで、『イノベーションと起業家精神』だけでなく、『ビジョナリー・カンパニー』など他の書籍からの引用もあり、ビジネス書とししての要素を重視しているようです。

文章自体はかなり読みやすく、内容もおもしろいのは前作と同様です。
かなり難しいドラッカーの書籍の内容が、非常に読みやすく理解しやすい形になっています。
ページ数は300ページ以上ありますが、すぐに読み終わってしまいました。

ビジネス的観点での要点

ここからは、小説としての内容には触れず、ビジネス書として見たときの要点をまとめます。

イノベーションで競争から解放される

インターネットが普及し、競争が激化しました。以前は、手に入れるためには近所のお店に足を運ばなくてはならなかったものが、インターネットを介して世界中から取り寄せることができるようになりました。

つまり、競争相手が地域の他の店舗から全世界の同業に広がったことになります。

このような激しい競争の中で戦っていく道に困難が待ち受けているのは想像に難くないでしょう。勝ち残るのはたったの1社で、他は全て負け、という状況になることもあります。

そういった競争から解放されるため、「イノベーション」が重要になります。

イノベーションとは、新しいものを生み出すこと。
完全に新しいものを生み出したとき、そこにはライバルはおらず、競争がない世界になります。

『イノベーションとは競争をしないことである』ということもできるのです。

イノベーションにより競争を減らし、仕事を増やして、人々の居場所を作る
それがドラッカーが『イノベーションと起業家精神』を著した意図とされています。

アイデアとは一石二鳥、一石三鳥となるものである

この本では「よいアイデアとは、一石二鳥、一石三鳥、あるいはそれ以上になるものである」という内容が繰り返し出てきます。

例えば、任天堂の『ゲーム&ウォッチ』の開発には古い液晶を使っていたのは、値段が安いことと故障が少ないこと、という2つのメリットがありました。

イノベーションの成功事例として話されることの多いiPhoneも、画面を大きくすることとボタンという概念をなくして操作の自由度を上げること、という2つのメリットがあるアイデアでした。

仕事をしているうえで、「これはいいアイデアかも!」と興奮してしまうことがあるかもしれませんが、このときには「そのアイデアで2つ以上の観点からメリットがあるか」というのを考えてみるのもよいかもしれません。

型を生み出す『猿飛佐助』理論

『猿飛佐助』については、もちろんドラッカーの書籍で触れられているわけではありませんが、教育学者の斉藤孝が書いた『天才がどんどん生まれてくる組織』という本の記述にある、として作中でその内容が紹介されています。

猿飛佐助とは、白土三平のマンガ『サスケ』に出てくる忍者のことですが、実はこの猿飛佐助というのは、個人名のことではなく「術」あるいは「型」の名前だというのです。
その型を習得したものが名乗るのが『猿飛佐助』。したがって、1人が敵に殺されたとしても、また猿飛佐助は現れます。

作中のマネージャーと監督は、これを野球のピッチャーに応用して考えました。
最新のピッチングマシンを研究し、投球フォームを研究し、型通りに練習をすれば誰にでも習得できる「イノベーションボール1号」という変化球を生み出しました。
変化球の習得方法を型化したことにより、特定のエースだけが投げられるのではなく、型を習得したピッチャーが全員投げられるようになったのです。

ビジネスの現場でも、トップ営業に頼るのではなく、営業を型化してたくさんのエースをつくる、などの応用ができるかと思います。
そしてこのとき、必ずしも「トップ営業を科学して型化する」というアプローチが最善ではない、ということもこの話から読み取ることができます。

さいごに

このほかにも、

「『居場所』をつくる」

「構造の変化をつかむ」

「トム・ソーヤーのペンキ塗りの理論」

「意見の対立を見ないときには決定を行わない」

などなど、役に立つ情報がたくさん詰まっています。

かたいビジネス書は苦手、、、という方にはぴったりかもしれません。
1作目の「もしドラ」をまだ読まれていない場合は、そちらももちろんオススメ!
もしドラの内容も、そのうち記事にできたらなと思っています。

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