法律って何だっけ?民法編 ~民法とは何か。殺人依頼の契約は有効?~

教養

こんにちは。
x_hackerです。

今日は法律についての第二回。民法の全体像について。
(第一回はこちら:法律って何だっけ?憲法編 〜憲法は国家権力に歯止めをかけるもの〜

今回も参考文献ははこちら。

日本一やさしい法律の教科書

学校で勉強した切り口と違うのはもちろん、読者への疑問の投げかけや、例として出すケースの設定が秀逸ですごく面白い本です。

日本一やさしい法律の教科書

日本一やさしい法律の教科書

  • 作者:品川 皓亮
  • 発売日: 2011/10/20
  • メディア: 単行本

憲法と民法の違い

まずは民法の全体像について。

前回は憲法について、「憲法とは国民一人ひとりの自由を守るために国家(日本)の権力に歯止めをかけるための規定」であると勉強しました。
つまり、憲法は「国家と私人」の関係について定める法でした。

それに対して民法は「私人と私人」の関係を規律する法です。

民法の構成

民法は、大きく2つのパートに分かれます。私人の財産関係を定めた「財産法」と、私人の家族関係を定めた「家族法」
財産法は物権法と債権法に、家族法は親族法と相続法に分けられます

民法は5つの編から構成されています。

第1編「総則」

民法全体(このあとの4つの編の全て)に共通する基本的なルール

第2編「物権法」

所有権や抵当権など、物に対する権利について定めています。

第3編「債権法」

ある人がある人に対して特定の行為を請求する権利である債権と、債権の裏返しである義務である債務について定めています。
債権があるところには、同時に必ず債務があります
その債権・債務がどのような場合に発生し消滅するか、などが定められています。

第4編「親族法」

家族や家庭をめぐる問題への処理について定めています。

第5編「相続法」

人が死亡した場合に、その財産が誰に受け継がれていくかを定めています。

私的自治の原則とその例外

今回参考にしている本では、わかりやすく「殺人の依頼とその報酬」という内容で考えています。

【問題】
AがBに殺人を依頼しその報酬として500万円を支払う契約書を作成し、双方署名をした。Bは殺人を実行したがAが報酬を払わない場合、その支払いを裁判所に訴えた場合に勝訴できるか。

私的自治の原則、契約自由の原則と公序良俗

憲法では、個人が自由にできる権利と公共の福祉とのバランスが大事、という話がありました。
同様の問題が民法でもあります。

私的自治の原則と契約自由の原則

民法の前提となる考え方に「私的自治の原則」というものがあります。
これは、市民社会において人が権利を取得したり義務を負ったりするのは、自らの意思でそれを望んだときだけである、という考え方です。
「自分のことは自分で決める」という考え方ですね。

また、私的自治の原則を契約の場面で具体化したものに、「契約自由の原則」というものがあります。
これは、「どんな内容の契約も自由に締結できる」というもの。

「自由」の例外

憲法の時にも出てきた考え方ですが、完全な自由を許容すると他人の自由を侵害してしまうことがあります。
この自由の侵害を防ぐために、憲法では「公共の福祉」という概念がありました。

民法では第90条に「公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。」と定めています。
これにより、公序良俗に反する契約は無効であると言うことができます。

つまり、【問題】のような殺人の依頼は契約自体が無効になるため、Aには報酬の支払い義務がない、ということになります。

今回は、民法のかなり大ぶりな部分のみを書いてみました。

続きはまた後日。

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