こんにちは。えっくすはっかーです。
今日は、マッテオ・モッテルリーニさんの「経済は感情で動く はじめての行動経済学」をご紹介!
「行動経済学」という言葉は数年前によく聞きましたが、この本はその時に売れた本。
私たちは常に合理的な経済的判断をできているか。できていないとしたらそれはどのような場合か。そして、感情は経済的判断にプラスなのかマイナスなのか。
上記のような要点を中心に、行動経済学の世界を少し見てみましょう。
- 作者:マッテオ・モッテルリーニ
- 発売日: 2008/04/20
- メディア: 単行本
超まとめ
人として生きていくために感情は必要不可欠。合理的・経済的判断にとって感情はマイナスに作用すると思いがちだが、人にとって重要な判断基準にもなりえる。感情・理性を理解してより良い判断をできるようになろう。
私たちは合理的な判断ができているか
突然ですが、下記の2つの問いについて、あなたの答えを考えてみてください。
問1. 二者択一
A 3万円が確実に儲かる
B 15万円が儲かる確率が25%で、まったく儲からない確率が75%
あたたはどちらがいいですか?
問2. 二者択一
C 10万円を確実に損する
D 15万円を損する確率が75%、損失ゼロの確率が25%
あたたはどちらがいいですか?
いかがでしょう?
多くの人と同じ判断をしたとしたら、問1ではAを、問2ではDを選んだのではないでしょうか(同様の実験ではAが84%、Dが87%)。
ところが実際に期待値を計算してみると、Bは3万8,750円、Dは11万2,500円なので、合理的な判断をするならB、Cを選ぶべきなのです。
誰しも「得をしたい」と思っているはずなのに、期待値計算をせずに直感で選ぶと合理的ではない判断をしてしまいます。
(特に、得をすることが「確実」損をすることが「確実」という状態には敏感に反応してしまいます。このような現象を「確実性効果」といいます)
もう1つ例を見てみましょう。
問3. あなたはある手術をうけなければなりません。どちらの説明にいい印象を抱きますか?
E これから受ける手術で失敗すると命を落としますが、成功する確率は99.9%です
F これから受ける手術で1万人のうち10人が失敗して亡くなります
いかがでしょうか。説明している内容は同じですが、Eの方が印象がよかったのではないでしょうか。
私たちには、ネガティブな情報の方がインパクトが強く、確率より実数の方が心に刺さります。
このように、人が意思決定したり判断を下したりするときには、厳密な論理で一歩一歩答えに迫るアルゴリズムとは別に、直感で素早く解に到達する方法があります。
このような直感的な方法を「ヒューリスティクス」といい、これにより私たちはときに非合理的な判断や意思決定をしてしまいます。
損と得、どちらが心に響きやすい?
例えば何かに投資して、10万円儲かったときと、10万円を失ったとき、どちらの方が心理的価値が動くでしょうか。
答え:心理的には、失う10万円は得る10万円の2倍以上の価値を持つそうです。
10万円を失ったとき、その心理的な損失を埋めるには20万円以上の儲けが必要になります。
また、数字(金額など)の大小と心理的価値の変化は比例する直線的なものではなく、曲線を描きます。同じ5円でも、1,005円と1,000円の差よりも10円と5円の差を考えるときの方が、価値が大きく感じるのです(ダニエル・カーネマンのプロスペクト理論)。
感情・直感は邪魔?
ここまで、感情や直感に従うと非合理的な判断をしてしまう例を見てきました。
それでは、感情や直感は物事の判断をするときには不要なのでしょうか。
物事の判断には大きく2つの種類があります。
直感:スピーディーで、無意識で、大まかで、連想を駆使し、調整も修正も利かない
推論:ゆっくりと順序を踏み、意思によってコントロールされ、習得可能な規則によって潜在的に管理される(数学や確率計算など)
直感による判断がなく、推論のみになったとしたらどうでしょうか。
まず、日々の大量の判断に支障が出ます。
「今日はどんな服を着ようか」「お昼ご飯には何を食べようか」ということを考えるとき、推論の過程を踏むと「よりよい判断」ができるかもしれませんが、それでは時間がかかりすぎるうえ、日々の生活を楽しむことが難しくなるでしょう。
また、人の命が関わることや、倫理的な問題、人間関係などを扱う際は、直感による判断・感覚を重視しなければ、論理的な思考だけで判断をすると人間らしい判断ができなくなってしまいます。
つまり、直感による判断も、推論による判断も、どちらも重要であることがわかります。
まとめ ~感情と理性の関係性~
ここまで理解すると、感情と理性の関係は対立関係ではなく、協力関係と見るのがよいのではないかと考えられます。
感情(直感)と理性(推論)は、順番としては感情→理性という順序を踏みます。
理屈があって感情につながるのではなく、感情に理屈が付いてくるイメージです(感情に合わせて論理を構築する、とも言えるかもしれません)。
直感による判断と、推論による判断、両者の特性を理解し、人間的な判断をしたいのか、合理的な判断をしたいのかで使い分けるのがよいでしょう。
鍛えることで、より合理的な判断ができるようになることもわかっています。
感情とも理性ともうまく付き合って、幸福につながる選択をしていけるといいですね!
本にはもっと様々な問と解説があります。
この記事では、シンプルな問だけを選びましたが、もっと「目から鱗」な例も挙げられています。少し難しい本ではありますが、是非一度読んでみてください。
- 作者:マッテオ・モッテルリーニ
- 発売日: 2008/04/20
- メディア: 単行本
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