『世界最高の教室』を解説。理想的な学校の形とは。

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こんにちは。えっくすはっかーです。
今回も教育関連シリーズ。『成功する「準備」が整う 世界最高の教室』を読んでみましたので、その概要と感想をまとめてみます。

『世界最高の教室』ってどんな本?

著者のダイアン・ダヴァナーさんは、2003年にまったく新しい学校「サミット・スクール」を立ち上げました。

サミット・スクールは、生徒全員が生きるために必要な力を身に付けることを重視し、今までの学校運営の方法にとらわれず、シリコンバレーのIT企業のアドバイスも受けながら、その1つひとつを作ってきました。
『世界最高の教室』では、そんなサミット・スクールを立ち上げるに至った経緯、サミット・スクール立ち上げ期から軌道に乗るまでのストーリーが描かれています。

具体的にどのようなことをしているかも描かれていて、より良い教育を広めたいという著者の思いが伝わってきます。

また、この『世界最高の教室』(『Prepared』)は、ビル・ゲイツのブログで2019年に読んだオススメの本の5冊のうち1冊として選ばれています

著者が築いた「世界最高の教室」とは

プロジェクト型の教育

サミット・スクールでは、生きていくための力を身に付けること、を重視して教育を設計しています。
その中で象徴的ともいえるのが「プロジェクト型」の教育

生徒はそれぞれテーマを設定しチームを組んで、学習、調査から始まり、分析をし、チームでプレゼンテーション等のアウトプットまで持っていきます。

テーマは例えば、「もっと持続可能な都市を計画するには?」という、大人でも難しいものを取扱います。
そういったテーマに対して、「自然資源や汚染、廃棄物処理に関し、人々、企業、政府はどのような判断をすべきか」「こうした判断に、費用対効果の分析はどのような影響を与えるか」といった質問が加えられます。

このようなテーマに主体的に取り組むことで、自ら学ぶ姿勢チームの中でそれぞれの強みを生かす方法コミュニケーション力や論理的思考力プレゼンテーション力等が身に付きます。

自主学習と目標設定

サミット・スクールでは「自主学習」を重視しています。
単に自習という意味合いではなく「自己主導的な学習」で、その意味を「子どもたち自身が自分の学びのリーダーになること」としています。

自主学習を実現するため、ダニエル・ピンクの『モチベーション3.0』や、心理学者キャロル・ドウェック(才能は生まれつき決まっていると考える「硬直マインドセット」ではなく、努力によって才能は伸ばせるという「成長マインドセット」が大切だと説いた心理学者)の「成長する人はどういう考え方をしているか」という研究を活用しました。

研究によると、短期、中期、長期的なゴール設定を考える練習をすることで、子どもたちの目的意識は発達する、ということでした。

そこで、サミット・スクールでは、①ゴール設定、②計画を立てる、③計画を実行する、④学んだことを見せる、⑤「何がうまくいったか」「何が難しかったか」を振り返る、というサイクルを実行しているそうです。

これにより、「自己主導性は学ぶことができる」という結論を出しています。

講義に適した人数は何人?

サミット・スクールでは、プロジェクト型の学習が目玉のようですが、自主学習や授業についてもいくつかの実験をしています。
本の中で紹介されているものの1つが、「講義は必須にすべきか」というもの。大人数での講義には、それぞれの個人にとっては簡単すぎる内容や難しすぎる内容が含まれてしまうため、全員の学習の密度を最大限に保つことができません。

そこで、講義を必須ではなく任意参加にしたところ、生徒の人数が2,3人になると生徒が必要とすることに時間を使うことができ、講義の満足度が跳ね上がったというのです。

このことから考えると、集団授業よりも個別指導や家庭教師の方が成果に結びつきやすいのかもしれません

さいごに ~この本からの学びを実際にどう生かすか~

自主的な学習を引き出すための方法、プロジェクト型の学習の効果、目標や計画の立て方と振り返り方、講義における最適な生徒数など、具体的に役立つ知識がたくさん詰まっています。

学校や教育機関を運営されている方は直接活用できるものもあるでしょうし、そうでなくても自分の子どもの家庭教育や学校・塾等の選び方に活用できるでしょう。

しかし、この本の中で私自身、一番印象に残っているところは、「学校でたとえひとりであっても大人と有意義な関係を築いた子どもは、そうでない子どもよりもいい結果を出している」という記述と、「Whatever it takes」という思想です。

「学校でたとえひとりであっても大人と有意義な関係を築いた子どもは、そうでない子どもよりもいい結果を出している」。これは、学校だけに限定された話ではないと思います。家庭以外のところで、大人と有意義な関係を築くことができれば、より良い結果を出すことができるでしょう。

そして、著者タヴァナーさんの思想を端的に表した「Whatever it takes」

子どもたちのためなら何でもする(Whatever it takes)

こんな人と関わることができた子どもの中には、人生が変わる子も出てくるでしょう。

私自身も、何かできることはないか。Whatever it takes、と言えるほど情熱を注げることはないか。
そんなことを考えさせられる1冊でした。

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