こんにちは。x_hackerです。
今回は、ロルフ・ドベリさんが書いた「Think clearly」のご紹介。
2019年から2020年にかけて、非常によく売れたビジネス書です。
スイス出身の、実業家であり作家でもある著者のよりよく生きるための思考法が詰まった本です。
その数なんと52!
要点をかいつまんでご紹介します。
- 超まとめ
- 生物としての機能を理解し、現代にあった思考法を道具箱に用意しよう
- 90%は無駄。自分の注意をすり減らさないようにしよう
- 人は他人以上に自分のことがわかっていない。自分の感情に振り回されないようにしよう
- 自分の「能力の輪」を作り、その内側にフォーカスしよう
- 考えるより行動し、その後で修正しよう
- まとめ
超まとめ
現代に求められる考え方と、生物として備わった機能の差を理解し、思考法を活用しよう。今は全てを知る必要はないし、できる必要もない。自分の能力の範囲に集中し行動しよう!
生物としての機能を理解し、現代にあった思考法を道具箱に用意しよう
人類がその多くの時間を過ごした石器時代。生きるか死ぬかの状況は日常的なものであり、ヒトはその状況で生き残るための機能をたくさん作りました(そのような機能を持った人が生き残りました)。
例えば、生き残るためには、ライオンと遭遇した時の対応や、毒キノコと安全なキノコの見分け方、獲物をしとめるための石器の作り方から獲物の狩り方まで、幅広いことをできる必要がありました。
例えば、茂みがガサッと動いた時、「風で動いたかもしれないし、小さい動物が動いたのかもしれない、もしかしたら他の可能性も、、、」と考えるより、「危険な肉食獣がいるかもしれない」とすぐに闘争・逃走の準備を全身にさせる必要がありました。
例えば、争いで殺されてしまったりしないように、周囲の人の動きや表情を読み解き、すぐに行動できるようにしておく必要がありました。
これらの機能は、1万年前は生き残るために非常に重要でしたが、現代の私たちの生活にそのまま必要とは言いがたいものです。
それどころか、よりよい人生を送る妨げになってしまうものもたくさんあります。
石器時代に生き残るために発達した機能を持ちながら、現代の生をよりよいものにしていくためには、さまざまな思考法を道具のように使うことが有効です。
「Think clearly」では、52の思考法が紹介されていますが、それらを理解し、自分自身の道具箱に入れておくことがよりよい人生にする助けになります。
ただし、自転車に乗れるようになるのにたくさん練習したくさん転んだように、思考法をうまく使えるようになるには練習が必要なことも覚えておきましょう。
90%は無駄。自分の注意をすり減らさないようにしよう
前述のように、石器時代には幅広い知識が必要で、生き残るためには身の回りに起きることにアンテナを張っておくことが重要でした。
しかし、現代は全く状況が違います。
至るところに情報があふれかえり、その多くは私たちの時間、お金、注意を狙ってきます。
最新のテクノロジーや世の中のニュースに、「これは知っておかなければ」と思ってしまうことも多いと思います。
ここで思い出しておきたいのが、世の中の90%が無駄であるという「スタージョンの法則」。
本でも、ネットの情報でも、動画情報でも広告でも音楽でも科学研究の論文でさえも。
良質なもの、必要なものは10%もないかもしれません。
お金や時間と同じように、どうやら注意力というものも有限のようです。
スタージョンの法則を理解し、石器時代の情報収集本能に振り回されないようにしましょう。
人は他人以上に自分のことがわかっていない。自分の感情に振り回されないようにしよう
はじめの例にあるように、石器時代には生き残るためには周囲の情報こそが大事で、自分がどのように感じているか、などは重要な情報ではありませんでした。
また、脳の機能として、「体験する私」と「思い出している私」とは全く別の感覚を持っていて、特に思い出すときには感覚、感情、事実が捻じ曲げられてしまうことも多々あります(心理学者のダニエル・カールマンやハラリ氏の「ホモ・デウス」内では「経験する自己」と「物語る自己」として表現されています)。
つまり、言いたいことは、人は想像している以上に自分のことがわかっていないし、感情なんかもあてにならないということ。自分のことが知りたければ、自分で考えるより周囲の人に聞いてみる方が確かでしょう。
石器時代には、「取られたけどまぁいっか」と寛容に思うよりは、「取られたら取り返す」「やられたらやり返す」という激情型の方がもちろん生き残る確率は高かったでしょう。
しかし、現代ではどちらの方がよい人生になるでしょうか。
感情というのは、飛んできては去っていく鳥のようなもの。自分の感情とは距離を置いて付き合えるようになりましょう。
自分の「能力の輪」を作り、その内側にフォーカスしよう
現代では、幅広くのことができなくても生きていけます。
それどころか、専門的な分野を持って突き抜けている方が価値が高いかもしれません。
自分が執着できるもの、没頭できるものは何か、という視点を中心に「能力の輪」をイメージし、その内側にフォーカスをして、外側の仕事等はできるだけ排除しましょう。
世界一の投資家と言われるウォーレン・バフェットも人生のモットーとして
「自分の『能力の輪』を知り、その中にとどまること。輪の大きさはさほど大事じゃない。大事なのは、輪の境界がどこにあるかをしっかり見極めることだ。」
と言っているそう。
自分自身の価値を伸ばせる、能力の輪の内側にあることを伸ばしていきましょう。
考えるより行動し、その後で修正しよう
考えることは行動することより楽。なぜなら、考えるだけならリスクがないからです。
しかし、考えているだけでは何も進まないし、理解も深まりません。
自分が何をやりたいかは、行動をし始めてみなければわからないのです。
パブロ・ピカソも「何を描きたいかは、描きはじめてみなければわからない」と言っていたそうです。
まずは行動をはじめ、修正をしながら走ることで前進していきます。
ただし、重大な決断をするときには十分な数の検証をするようにしましょう。
応募があった100人から秘書を1人選ぶとき、どのように決めれば最良の選択ができるか、という問題を扱う「秘書問題」というものがあります。
この答えは既に出ていて、最初の37人は全員不採用にして、次に始めの37人のうち最も優秀だった人を超える応募者が出てきたら、その人を採用するのが最良だということです。
この37は、100を数学定数e(2.718)で割った数だそうです。
行動をしていくのは非常に重要なことですが、重要な局面では、過去に証明されている有効な理論も使っていくようにしましょう。
まとめ
今までこのブログでも様々な本の紹介で扱ってきた、本能と現代に合った考え方とのせめぎあいが、この本のキーポイントであると思いました。
より良く生きるため、現代に合った考え方になるため、いろいろな思考法を身に付けておくとよいかもしれません。
ここで紹介しきれなかったものもたくさんあります(なにせ、52もありますから!)ので、よかったら是非、本でも読んでみてください。
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